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いつもそこに

先月の23日は、天皇陛下の誕生日でしたが
もうひとりというか、もうひとつの誕生日がありました。

それは東京タワー。
生まれてちょうど50回目の誕生日だったそうです、
私と同じ年。
実はこの東京タワー、私にとってはそれだけじゃない思い出がいっぱいの存在なのです。

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先日ひさしぶりに、以前勤めていた会社の社長から電話がありました。
私が専門学校をでてから学校の紹介で勤めた会社、
今月の末に、会社の創立30周年でお祝いをするからぜひきてほしいとのこと。
そうか、二十歳で就職したのだからちょうど30周年ということになるのだな・・
専門学校をでてからすぐに入った会社には、最初は社長と私の二人だけ。
出版社とは名ばかりのオンボロのオフィス一部屋から始まり
最初はどうなることかと思いながらも、楽しく新鮮なことばかりの日々でした。

そんな日々をいつも見ながら、そばにいてくれたのが東京タワー。
右も左もわからない新入社員のころは仕事で失敗した日には、
その光がじわっと涙ににじんで
キラキラとかたまりになって見えた夜もありました。

母がなくなった頃も、仕事にいけばとりあえず気が紛れました、
あったかい同僚がいてくれました。
そんな時もきっと、タワーをみあげていたはず。

二回目に移ったオフィスは少し出世して、五階建てのビルへ移転、
もっと東京タワーに近づきました。
それでもサッシの窓がガラガラと開く、ワンフロア、ワンオフィスのこじんまりしたビル、
残業の夜に窓をあけると、
ライトアップされたタワーがひときわ大きく目にはいり
その明かりをみながら、ふぅと息抜きしたのも懐かしい思い出です。

やがて大手のビル会社に買い上げられたバブルの頃、
思い出のその場所には、もうあの懐かしいビルはなく
ガラス張りの背高のっぽのビルがとって代わりました。

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昔のアルバムに、母と小さな私が一緒にタワーを見上げている写真があります。
二人とも後姿で、
母はタワーを指差して少しかがみ、私に、
「あれが東京タワーよ」と言っているみたい、
撮ったのは父でしょう。なんとなく愛おしい一枚の写真です。


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昭和から、平成へと、高度経済成長の時代からずっと街や人をみつめてきたタワー。
たくさんのたくさんの人が、50年間、ここを色んな想いで見上げてきたのだと思います。
新しいタワーにその仕事はゆずっても、
私にとってはたいせつな存在、
そのライトアップされた姿が美しいのではなく、
そこにある、その灯りがあたたかいのです。
この平成不況の中でも、同じ想いで見上げている人がいるかもしれません。
こんな時だからこそ、いつもそこに変わらずに灯っていてほしいと思うのです。
同い年の君に、ちょっと遅くなったけれど、誕生日、おめでとう。
by kisaragi87 | 2009-01-06 09:22 | 思い出ぽろり
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