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22歳

今日は娘の22歳の誕生日。
4年間通った大学もこの春で卒業となります。
娘は教育学部で小学校教諭になるための勉強をしてきました。
ずっと憧れてきたはずの小学校の先生、
そしてたまたま一昨年の秋に自分で探してきた
教育特区の小学校教諭の師範館に幸運にも合格をし
大学に通うかたわら、週末はその師範館での実習と勉強を続けてきました。
そこでの実習を受けるということは小学校の先生になる切符を手にしていたということで
ほぼ進路は決定していたわけです。

ただ、そこで学び実際に子ども達と向き合ってみて
自分の中であらたな葛藤が生まれてきたようなのです。
独自の教育理念に基づいた師範館の教育を受ける中で、
二度にわたるフィンランド行き、
中でも二回目では実際に教員補助の仕事もしながら得てきたことや
まだ未完のことなどが、次々と自分の中での問いかけが出てきたのです。
悩み迷っている様子ははた目にももちろんわかりました。
娘の口からも色々迷ったこと、
そして師範館をやめて一年間アメリカに行きたいと思っていることなど
自分なりに考えた気持ちが伝えられました。
言っていることの理屈は通っているし、その気持ちもわかるものの、
みすみす教師への切符を手放すかもしれないときいた時
正直言って、これで社会人になってくれると安心していたところだったので
手放しで了解するわけにもいきませんでした。

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どんな仕事だって、自分の理想どおりにいく訳もなく、
もしかしら当座の問題を先送りしているだけなのじゃないか、逃げなのではないか、
夫と私と娘、三人でいく度もいく度も話し合いました。
そしてまた師範館の先生方からも私達と同じ大人の意見があったようです。

でもさんざん自問自答して得た答え。
若い時だから挑戦できることもあるのは事実だし
後からああしておけばよかったと後悔が残るよりはと、
そのための資金もアルバイトでほとんどためてあるとの話ををきき、
そこまでして決めたことなら少し遠回りをしてもいいじゃないかと、
家族で応援してあげようということに決めました。
実際二つのアルバイトを掛け持ちし、自宅から二時間かかる通学も続け
おまけに週末の実習も続けてきたわけですから、
親といえどもいったい誰に似たのやらの、その頑張りには驚いていました。
高校の部活からアルバイト、今まで投げ出さずに続けてきました。
ならば、ここで決めたことは、けして投げ出したわけではないよね、
私達にもそう思えたのです。

そんな紆余曲折を経て娘が決めた春から一年のアメリカ行き。
アメリカの学校で、補助教員として一年間実習をする試験を受け
昨年の秋に合格の報せが届きました。
いわゆるインターンシップのようなことなのですが
生徒の家にホームステイしながら地元の中学校で日本語を教える補助教諭となり、
わずかながらお給料も出るようです。
日本の教育現場で色々な経験をさせてもらいながら
直面した現実と、自分に何ができるんだろうというジレンマ、あまりに規制の多い実態。
二度のフィンランド行きのことを併せ考え、
今度はアメリカの教育を経験しながら英語力も鍛え、
その経験を日本で活かしてみたい、そんな気持ちになったようです。
もちろんまだその先のことは、はっきりと見えていないともいえます。
一度先生をしてからという方法もあったし、すすめもしたのですが
早いうちに行っておきたいとの希望で迷いに迷って決めたこと。
一年間は顔を見られなくなりそうだけど
自分で決めたことだから振り返らずに頑張ってほしいと思います。

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娘は小さな頃からこうと決めたら一人でも行動するところがありました。
赤ちゃんの頃も、砂場にじっとすわって砂遊びをするよりも
あちこち歩き回るのが好きで、
私が公園友達を作りたくてほかのお母さんと話し始める間もなく
トコトコと歩いて冒険を始める娘。
砂場で遊ぶ我が子を囲んでおしゃべりするお母さん達がうらやましくて、
喜々として歩きまわる娘をうらめしく思った日もありました。

それから弟が生まれ、祖父母との同居も始まり、
いつしかいつもがんばり屋のお姉ちゃんの肩書きが娘のトレードマークになっていました。
時に私の愛情が弟のほうに多くそそがれていると思い
複雑な気持ちを私にぶつけてきた日々もありました。
それでも外ではけして泣き言を言わずにみんなのお姉さんになり、
頑張らなくていいことまで引き受けて、貧乏くじひいて、家で泣く日もありました。

でもちゃんと培ってきたものもあったようです。
人との繋がりもやっとここにきて実を結んできているのがわかります。
うんと遠回りをして、人の何倍もかけても大切な何かがみつかるならそれもいい。
最近は弟ともとても仲がよくて、
二人のやりとりが楽しく心地よくきこえてきます。
夕べも12時をまわった頃、息子がプレゼントの写真集を渡していました。

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つい先日卒論の最終発表会も終え、最後の授業も終わりました。
塾のバイトも今月いっぱいで終わり、コーヒーショップも来月いっぱいでおしまい、
大学4年間、ほんとうによく頑張ったね。
それでもあなたはこれからもじっとせず、
小さな頃のまま、トコトコと歩いていくのでしょう。
恋人と祝う誕生日はいつになることやらだけど
今夜はバイト先のみんなが祝ってくれると出かけていきました。

22歳おめでとう。


写真はフィンランドのトゥルクで娘が撮ってきたものです

by kisaragi87 | 2010-02-05 21:35 | あなたへ
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