雪癖なんて言葉があるかどうかしらないけれど、
一度降ると、続けて降りだすことがよくあるような気がすします。 関東地方は先日降った雪の翌日にも続いて雪が降りました。 にわか雪があるかもしれないという天気予報は出ていたけれど 夕方には夕陽も顔をだしていたので、 台所の窓にひらひらと舞う雪の影を見た時は唐突な感じがして驚きました。 外を見ると前夜にも増して激しく舞う雪。 見る間に隣の畑の雪が融けたばかりの土の上にまた雪が降り 白く上書きされていきます。 雪の少ない地方だからか、雪の降った日にあった出来事や 雪降る町に行った時の記憶は印象深く刻まれているものもあり、 雪の降る様と一緒に記憶の一ページに記されています。 小さな頃、まだ小学校にあがる前の冬に父と一緒にでかけた札幌。 祖父母の家に一週間ほど滞在し、今日帰るという日に大雪になりました。 その頃祖父母の家はまだ北大の近くの古い二階建ての家で 私はその家が大好きでした。 もう帰らなければならい名残惜しさに通りに向かう部屋から窓の外を見ていました。 後から後から舞ってくる雪は大きなぼたん雪、 真冬の粉雪じゃなかったので、春も近い頃だったのかもしれません。 大きなひとひらひとひらが、 灰色の空から後から後から舞い降りてくる様子は今も目に見えるようです。 その後函館で吹雪に見舞われ、連絡船がとまって足止めになり 湯の川に一泊しました。 よほどの大雪だったのでしょう、 初めて遭った吹雪、タイツの足に当たる雪が痛くて泣き出し 父が街角の建物を風除けにしてズボンをはかせてくれたことを憶えています。 そして初めての大恋愛をした23歳の頃、 雪が降ってるね、そんな他愛ないことが言いたくて恋人にかけた電話に うん、降ったね、じゃあ会おうか、と思いがけないデートになったことがありました。 喫茶店でおしゃべりしているうちにすごい雪になってきて 帰れなくなりそうなほど積もっていました。 でもなんか嬉しかった突然の雪とデート。 それから数年後、ずっと一緒にいたいと思う人に出逢いました。 そして結婚が決まり、 父と結婚の準備で家具を見に行った日も雪でした。 結婚前後のこのあたりのことは手帳にこまごまと記されているのですが 書き始めがちょうど立春からになっています。 その数日後、私の中に芽生えていた小さな命を断った日の前夜も雪でした。 このあたりの心の葛藤も言葉少なに記してあります。 そしてそれからひと月と少し、三月の末に 風に舞う雪の中、父の背中をみながら歩いたのです。 降りしきる春の雪の中 父と二人で家具を見に行った。 白く白く雪は風に流され 父の背中と、雪に残る足跡をみながら歩いた・・ 二月のことも、どこかにまだ色濃く残り 父と歩いた日のことは手帳に三ページにわたって書かれていました。 手帳をみるとこの年も何度か雪が降ったみたい、 雪癖ってやっぱりあるのかもしれないと思います。 今日もまた絹ちゃんと東京タワーの見えるお寺まで行ってきます。 今週はぽかぽかの陽ざしの日もあるとか。 今日も暖かくなりそうです、 いつもの梅も開いているかもしれません。
by kisaragi87
| 2010-02-08 08:48
| 思い出ぽろり
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