カテゴリ:あなたへ( 42 )

22歳

今日は娘の22歳の誕生日。
4年間通った大学もこの春で卒業となります。
娘は教育学部で小学校教諭になるための勉強をしてきました。
ずっと憧れてきたはずの小学校の先生、
そしてたまたま一昨年の秋に自分で探してきた
教育特区の小学校教諭の師範館に幸運にも合格をし
大学に通うかたわら、週末はその師範館での実習と勉強を続けてきました。
そこでの実習を受けるということは小学校の先生になる切符を手にしていたということで
ほぼ進路は決定していたわけです。

ただ、そこで学び実際に子ども達と向き合ってみて
自分の中であらたな葛藤が生まれてきたようなのです。
独自の教育理念に基づいた師範館の教育を受ける中で、
二度にわたるフィンランド行き、
中でも二回目では実際に教員補助の仕事もしながら得てきたことや
まだ未完のことなどが、次々と自分の中での問いかけが出てきたのです。
悩み迷っている様子ははた目にももちろんわかりました。
娘の口からも色々迷ったこと、
そして師範館をやめて一年間アメリカに行きたいと思っていることなど
自分なりに考えた気持ちが伝えられました。
言っていることの理屈は通っているし、その気持ちもわかるものの、
みすみす教師への切符を手放すかもしれないときいた時
正直言って、これで社会人になってくれると安心していたところだったので
手放しで了解するわけにもいきませんでした。

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どんな仕事だって、自分の理想どおりにいく訳もなく、
もしかしら当座の問題を先送りしているだけなのじゃないか、逃げなのではないか、
夫と私と娘、三人でいく度もいく度も話し合いました。
そしてまた師範館の先生方からも私達と同じ大人の意見があったようです。

でもさんざん自問自答して得た答え。
若い時だから挑戦できることもあるのは事実だし
後からああしておけばよかったと後悔が残るよりはと、
そのための資金もアルバイトでほとんどためてあるとの話ををきき、
そこまでして決めたことなら少し遠回りをしてもいいじゃないかと、
家族で応援してあげようということに決めました。
実際二つのアルバイトを掛け持ちし、自宅から二時間かかる通学も続け
おまけに週末の実習も続けてきたわけですから、
親といえどもいったい誰に似たのやらの、その頑張りには驚いていました。
高校の部活からアルバイト、今まで投げ出さずに続けてきました。
ならば、ここで決めたことは、けして投げ出したわけではないよね、
私達にもそう思えたのです。

そんな紆余曲折を経て娘が決めた春から一年のアメリカ行き。
アメリカの学校で、補助教員として一年間実習をする試験を受け
昨年の秋に合格の報せが届きました。
いわゆるインターンシップのようなことなのですが
生徒の家にホームステイしながら地元の中学校で日本語を教える補助教諭となり、
わずかながらお給料も出るようです。
日本の教育現場で色々な経験をさせてもらいながら
直面した現実と、自分に何ができるんだろうというジレンマ、あまりに規制の多い実態。
二度のフィンランド行きのことを併せ考え、
今度はアメリカの教育を経験しながら英語力も鍛え、
その経験を日本で活かしてみたい、そんな気持ちになったようです。
もちろんまだその先のことは、はっきりと見えていないともいえます。
一度先生をしてからという方法もあったし、すすめもしたのですが
早いうちに行っておきたいとの希望で迷いに迷って決めたこと。
一年間は顔を見られなくなりそうだけど
自分で決めたことだから振り返らずに頑張ってほしいと思います。

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娘は小さな頃からこうと決めたら一人でも行動するところがありました。
赤ちゃんの頃も、砂場にじっとすわって砂遊びをするよりも
あちこち歩き回るのが好きで、
私が公園友達を作りたくてほかのお母さんと話し始める間もなく
トコトコと歩いて冒険を始める娘。
砂場で遊ぶ我が子を囲んでおしゃべりするお母さん達がうらやましくて、
喜々として歩きまわる娘をうらめしく思った日もありました。

それから弟が生まれ、祖父母との同居も始まり、
いつしかいつもがんばり屋のお姉ちゃんの肩書きが娘のトレードマークになっていました。
時に私の愛情が弟のほうに多くそそがれていると思い
複雑な気持ちを私にぶつけてきた日々もありました。
それでも外ではけして泣き言を言わずにみんなのお姉さんになり、
頑張らなくていいことまで引き受けて、貧乏くじひいて、家で泣く日もありました。

でもちゃんと培ってきたものもあったようです。
人との繋がりもやっとここにきて実を結んできているのがわかります。
うんと遠回りをして、人の何倍もかけても大切な何かがみつかるならそれもいい。
最近は弟ともとても仲がよくて、
二人のやりとりが楽しく心地よくきこえてきます。
夕べも12時をまわった頃、息子がプレゼントの写真集を渡していました。

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つい先日卒論の最終発表会も終え、最後の授業も終わりました。
塾のバイトも今月いっぱいで終わり、コーヒーショップも来月いっぱいでおしまい、
大学4年間、ほんとうによく頑張ったね。
それでもあなたはこれからもじっとせず、
小さな頃のまま、トコトコと歩いていくのでしょう。
恋人と祝う誕生日はいつになることやらだけど
今夜はバイト先のみんなが祝ってくれると出かけていきました。

22歳おめでとう。


写真はフィンランドのトゥルクで娘が撮ってきたものです

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by kisaragi87 | 2010-02-05 21:35 | あなたへ

19歳の覚書き

10代最後の一年を迎えた今日だから
今のあなたを書いておきましょう。

備忘録としての19歳の覚書き。
写真に夢中、4大学写真展のポスター写真に選ばれる。
今は街を歩いて撮ることに熱中。
思い立って旅に出る。
男はつらいよ全作品の知識は呆れるほど。
村上春樹読破中、本はよく読むのに時々日本語が変。
野球をやめて運動をしなくなったからと、
二重飛びの裏技や有酸素運動としての縄跳びのしかたを研究中。
もひとつ野球をやめたからと伸ばしだした髪、
スポーツ刈りのイメージがくつがえって
久しぶりに会った高校の先生がびっくりしてたとか。
月の三分の一は帰ってこない、夏は学校のベンチで寝るのが気持ちいいらしい。
蚊にくわれないのかと心配したけど、
親ならもっと違う心配するのかもしれないね、この親にしてこの子あり。

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土曜日に友達に会いにでかけてきた港町、
ぽかぽかと暖かで、空にはおだやかな雲が気持ちよく広がっていました。
その空をみながら
この街に毎日通っているあなたのことを考えてたのよ。

大きな観覧車の下にはジェットコースターもみえました。
午後の光を受けて観覧車の窓がキラリと光ってみえました。
あそこに座ると傾いていく夕陽や遠くの山も見えるのだろうな、
そして振り返れば海が広がっているんだろうね。
ゆったりと遠くの景色をながめながら進むのもいいし、
ジェトコースターのように風を感じながら目の前のことに夢中になって
走り抜ける時があってもいい。

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19歳はたぶんあなたが思うほど大人じゃないし、
私が思うほど子供じゃないのかも、
色んな自分を探してほしい、色んな人に出会ってほしいと思っています。

未知なる19歳にこんにちはの日、誕生日おめでとう。
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by kisaragi87 | 2009-12-15 07:18 | あなたへ

帰郷

今日は父の87回目の誕生日。
今週はちとへとへとモードだし、誕生日の近い夫といつも一緒に祝うので
誕生会は明日、腕によりをかけてみましょうぞ。

父にはグレーのチェックのフリースの上着と茶色のやわらかいマフラー
それに部屋着のスウェットズボンをプレゼント。
さっき届けたら、喜んでくれました。
それからほんの10分、ピンポーンとチャイムの音、
玄関をあけると、プレゼントしたものぜんぶ身につけて照れ笑いの父、
なんか可笑しくて、うれしかった。
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このあいだ友達のブログにコメントされてる方のブログへおじゃましてみたら
懐かしい歌がアップされていました。
忘れていた旋律が、静かな波のようにおしよせてくる。

この人の声と歌が好きでした。
異邦人はなんども口ずさみ、歌ったけど、
この歌も当時のLPに入っていたのだろうか
それすらも忘れてしまっていたけれど、懐かしくひびきます。


帰郷

この坂を登りつめると
ふるさとの町が見える
幼い日の壊れやすい記憶を
指先でたどってみる

灯りの花が咲き
夜のとばりに浮かぶ窓
食器のふれる音、夕餉の祈り
そこには悲しみさえ
わかちあえる人がいる・・愛の器に

この坂を登りつめると
ふるさとの町が見える



私には、やはり母と過したところ、そして父がいるところがふるさとなのだと思う。



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by kisaragi87 | 2009-10-30 18:28 | あなたへ

秋の花

昨日は母の誕生日だったことを思い出した。
そういえば私の生まれる予定日もほんとうは同じ頃だったみたいなことを
母からきいたおぼえがある。
母の誕生日の9月5日は、母が貰われてきた日なのか
それともほんとうに生まれた日だったのか、
祖母にも母にも、ついぞきいたことがなかった。
どっちにしても、昔はきっとそのあたりは誰しも曖昧だったのかもしれないな。

母の好きな花は紫陽花だったけれど
母を花に例えたら、どんな花だろうと想ってみた。
花の名は思いつかない、
ただなんとなく秋の花のような気がする。
大輪じゃない、派手でもない、強い風にも黙って身をまかせる野の花。
そんな秋の花のような気がする。

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by kisaragi87 | 2009-09-06 09:20 | あなたへ

エール

息子は月曜日から北海道、
どしゃ降りの雨の中早朝から大きなリュックをしょって、
大学の友達と二人、東日本、北海道フリー切符とかいうのを買って
東日本と北海道の鉄道一万円で5日間各駅停車乗り放題の旅に出ました。
予定を立てない旅はどうですか。
宿も行き先も決めてない旅、車中泊もあるんだよね、
もう今日は本州まで帰っているはず
いい出会いもあったりしたのかな。

このあいだ古着屋さんで500円で買ってきたというアロハ、
派手な色で学校に着ていったら友達ドン引きだったって笑ってたね、
ほんと、チンピラの兄さんみたいで
これ着て寅さんの後ろついて歩いたら似合うだろうな~って、
想像したらおかしくて。
君のまわりにはいつも笑顔があるね、人懐こくて甘え上手なあなた。

いっぽう、何でもこなしていつも一生懸命だけど
あっちにぶつかり、こっちにぶつかり
人の嫌がることまで引き受けて、結局後でなんで・・と落ち込むこともしばしばの娘。
でもこの8月の初めに一大決心をしたよね、
今まで走ってきたのだもの、少しくらいまわり道したっていいよ、
ずっと胃が痛くなるほど悩みながら迷ってきたのだもの、
そんなにして決めたことだもの応援してあげたい。

昨日は友達と一緒にひさびさの海、楽しそうだったね、
そうそう、もっと楽しんで!
大学生活最後の日々を大切にすごしてください。

育てたように子は育つと言うけれど、
いつも誰にでもお姉ちゃんになっちゃって
こういうふうに育てたのはお母さんだよって言われたし
たしかにそう育てたのだろうけど、
そんなあなたが愛おしくてしかたない。
これからは出会いがあなたを育てていくはず
自分で決めた道だものね、楽しんでがんばって。


こんな後姿の二人だった頃が、ちょっぴり懐かしいお祭りの日。

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by kisaragi87 | 2009-08-14 08:33 | あなたへ

白い紫陽花

二日遅れになったけど、
23年前のあの日も前夜の雨があがり、今朝みたいな清々しい朝だったよね、
一昨年の結婚記念日にプレゼントしてくれた白い紫陽花。

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紫陽花は母が好きな花だったけど
結婚したころからよく思っていたのは、あなたは母に似ているところがあるなってこと。
だから最初は、あなたも私のそばからいなくなってしまうようで不安だった。
でもそんな不安を少しずつぬぐってくれたあなたと過した時間は
いつしか、母と一緒にいた21年間をこして23年目にはいりました。

今年もあなたの紫陽花が小さな花をつけましたよ、
やっぱりあなたのそばがいちばん安心する。
あなたにとっても私はそんな存在だろうか、
5月31日は大切な日。
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by kisaragi87 | 2009-06-02 07:54 | あなたへ

いのり

子供をとおして知り合った20年来の友人から先月の初めに電話がありました。
ちょうど三月の初め頃の電話では
自分で気づいたしこりを、胸のわきにみつけたと聞いていたので
それからのことが気にかかっていたのですが、
こちらからは訊き難くどうしたかと気をもんでいた時
一ヶ月ぶりの彼女からの電話でした。

メールじゃちょっと言いにくかったからと切り出された話は、いい報告ではありませんでした。
今は簡単に本人に告知をするということで
彼女も一瞬頭が真っ白になり、
それから説明されたことは
胸のしこりは転移であること、原発はどこにあるのか不明なので
それをこれからくまなく探さなくてならないこと、だから検査が続くとのこと。
などなどをいっきに告げられたそうです。

検査は急ぎましょうと言われたそうですが、
ちょうど息子さんの大学の入学式をひかえた時だったので
それだけは出たいからと、検査は入学式後に始まりました。

「声をきいたらどうなるかわからなかったけれど
メールじゃ話しきれなかったから」
そう電話口で言われたとき、
呆然としていた私の気持ちも堰がきれ、電話の向こうからも嗚咽がきこえてきました。
毎年積み立てをしている友達4人での三年ごとに続けていた旅行
それがちょうど今年だったことも思い出し、
元気になるまでまってるから、ずっと待っているからと、それしか言えませんでした。


彼女は私より二歳年上、保母の仕事をずっと続けてきた彼女は子供が大好き。
息子が小さかった頃、難しい折り紙の折り方を何度も訪ねにいっても
根気良くやさしく教えてくれたことを思い出します。
私と同じ歳の妹さんがいるとのことで、私のこともいろいろ気にかけてくれる人です。
癌検診は毎年かかさず受けていたのに
今回のことはわからなかったそうで、
でもなんとなく自分で気になってみつかった変化。
それだけに、そのことに気づいた幸運もあると思うのです。

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あの電話から一ヶ月近く、
その後の検査の結果をきくのがこわくて、とても会えないと思い
手紙を入れた小さな花束とお菓子を、ドアノブにかけてきたその夜にメールがありました。

やさしい心遣いをありがとう、
結局原発部位はわからなかったけれど、これからまた専門病院を紹介されて
まだ検査が続いたあとに治療の方針が決まります。
でも、気持ちはずいぶん前向きになったよ、
やっと気持ちの整理ができて、病気と冷静に向き合っていく心の準備ができました。
だから、待っててねと、そう書かれてありました。

ほんとうは不安と、なぜ?という気持ちがいっぱいなはずだけど
あの時に自分でみつけていなかったら、もっと大変なことになっていた
だから幸運だったと思ってる、そう言う彼女。
もらったメールを胸にあてて、私にも何での文字がいっぱいで胸がつまってしまいました。

快復を祈るしかできない私だけど、だからこそ、
私も彼女のいうように、それを幸運と信じたいです。
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by kisaragi87 | 2009-04-28 18:17 | あなたへ

いろんな風をありがとう

風は雲を運び
髪をなびかせ、今日もふいてるね。

風は自由だよ、世界中をわたっていける
風はいつだって旅人。

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by kisaragi87 | 2009-04-01 08:17 | あなたへ

雪どけ道

23年前の今日
雪の上がった空からは陽の光と青い空が顔をだしていました。
雪どけ道をゆっくり歩きながら、
あたためられた空気には水蒸気がいっぱいでした。

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ここにいるわけじゃないのはわかっているけれど
やっぱり毎年ここに来てしまいます。
手を合わせて目をつぶると
風にからからと回る風ぐるまの音に、
髪をゆらす風にあなたを感じます。

お地蔵様の上の紅梅はまだ色づいたままのつぼみでしたが
お堂のそばの白梅は咲き始めていました。

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23年前の雪どけ道を思い出しながら、
今年は一度も雪をみないまま、春がきてしまうのかなと
少しさびしく思いました。
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by kisaragi87 | 2009-02-08 21:22 | あなたへ

そっとおやすみ

さっきひとつの訃報がありました、
息子の少年野球の代表をしていた方。
まだ50代、いっぱい、いっぱい思い出があります。

我がままだった、ひとりよがりだった、子供っぽかった、飲んだくれだった、さびしがりやだった
めちゃくちゃだった、でたらめだった。
だけど、愛すべき人だった。
子供が好きで、年寄りが好きで、
突然大きな西瓜を持ってきて、
「お父さんにやってくれや」そう言いながら、父にと置いていったひと。

スナックのカラオケで最後にいつも歌う大好きな歌、
「そっとおやすみ」
よく一緒に歌ったね。

あなたより先に病を宣告された奥さまに見送られ
きっと満足してるのかな。
悲しいよ、さびしいよ、
だけど甘ったれのあなたには、これでよかったのかもしれない。

大好きな歌をききながら、そっとやすんでください。
ゆっくり休んでください。

そっとおやすみ
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by kisaragi87 | 2009-01-13 23:56 | あなたへ