友達から今話題の洗顔石鹸をもらいました。「茶のしずく」というもの。
ネットに入れてふわふわの泡を作って洗顔するもの、 お茶の香りがして、なかなかいい感じ、 だけど結構値が張るのでなくなったら自分では買わないかもしれないな。 洗顔石鹸というと一番に思い出すのが資生堂のホネケーキ。 のせのせ上手なわんちゃんが喜びそうな名前だけど 骨ケーキではありません(笑) わかりやすくいえばハニーケーキ、honey cakeハチミツケーキ。 なにやら美味しそうだけど、ハチミツ成分入りで固めた石鹸というような意味があるらしい。 私が小学生の頃からわが家の台所にはこのホネケーキがありました。 昭和40年代、当時は洗面所なんてしゃれたものはなくて 台所の流しで歯磨きしたり、顔を洗ったり。 家族の歯ブラシも流しのオタマの横にかけてあったり。 その流しに渡した網だったかな、その上に 場違いのようにきれいなルビー色に透きとおった石鹸がひとつ置いてありました。 朝日が入る台所ではその色も明るく冴えて、 タイル貼りの流しの横でなんだかその石鹸だけ特別のような存在感。 それが小さくなってくると近所の化粧品屋さんによくお使いに行かされたものです、 化粧品屋のおばちゃんも、私が行くと、ああいつものあれねって顔して ホネケーキ?ってきいてくれました。 買ってきたばかりのおろしたては、 いちだんと香りがよくて、目の前にかざしてルビー色の向こう側を透かしてみたり。 そういえば母の小さな三面鏡の下にも、きれいな透きとおった液体の入った小瓶がいくつか並んでいてそれも私の憧れでした。 そして母にも、そんな化粧品や、石鹸は思い入れとこだわりのあるものだったのです。 というのも母は小さな化粧品店を営んでいた時があったから。 それは私が生まれる前、 結婚して7、8年くらいたった頃だったのでしょうか 当時両親が住んでいた東京の板橋というところに出したお店でした。 父のところにある古いアルバムには お店のカウンターの向こうに嬉しそうに笑う和服姿の母の写真が一枚だけ残っています。 その頃お店番というか看板娘をしていたのが愛犬エス。 サモエドという犬種の大きな子だったそうですが 今なら文句を言われそうだけど、リードもつけずに店にいて 父が帰ってくる気配を感じると、 店の向こうの角まで走っていってお帰りなさいをしたそうです。 父は今も可愛くてしかたなかったそのエスの思い出話をするくらい 両親に愛され、また両親を慕ってくれた愛犬でした。 母にとってその店を出すことが夢だったのかどうかはわからないし その後なぜ店をたたんだのか、 経営がうまくいかなかったのか、それとも私ができて大事をとってたたんだのか それも父にきいたことはないのですが 店に立つ母の写真はとても嬉しそうで、 それはそれで穏やかな日々だったような気がします。 父の洗面台の横には今もホネケーキが置いてあるはず、 今もあの時と変わらない香りがするのでしょうか。
by kisaragi87
| 2009-10-22 07:58
| 思い出ぽろり
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