人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ライラックの咲く頃

ライラック、またの名をリラ。
その花の咲く頃にいちど行ってみたいと思っていた札幌、
祖父母のところへ行くのはいつも夏や冬ばかりで、
いまだいちどもライラックの季節に街を歩いたことがありません。
そんな花をぜひ見に来て、その花の季節に会いましょうねと約束していた人がいます。

約束の季節とはちょっと違ってしまったけれど
やっと会うことができたよね、なすびさん。
一日の仕事を終えてからかけつけてくれたなすびさん、
地下鉄南北線の、すすきの5番出口。
目と目があって、すぐにわかりました。
わぁなすびさんだ、ほんもののなすびさんだ!
その話しかた、声、笑顔、どれもブログから受けた印象そのまま、
かざらないのにとびきりめんこくて、
すべてをやわらかくつつんでしまうような存在感。
ブログは裏切らない。

何も知らずに連れていってもらったお店は偶然にも私が昼間歩いた本籍地のすぐそば、
同じ北一条の二丁目違い。
子供の足でも5分とかからないところでしょう、
もしかしたら昔々お使いに行かされたあたりかもしれません。
そんな場所にある「つき灯り」、
その名前もやさしげで、通された個室ではすっかりくつろいでしまいました。
お酒はあまり飲めないのというなすびさんだけど
一杯だけビールにつきあってくれました。
ああ、美味しい!仕事の後のビールは美味しいよね。
話すことがいっぱいで、写真も撮らずにいたら
「パチってしなくていいの?」って。
うふふ、いつもパチってしてるものね、それじゃ遠慮なく。
北海道根室の開きホッケ!向こう側にはタチのお鍋♪
ライラックの咲く頃_c0114872_2349372.jpg

「たち」というのは、marronwさんもコメントにくださったけれど、タラの白子のことです。
北海道ではそれを「たち」と言い、もちろん母も祖母もそうよんでいました。
なすびさんとも、そんな話もしたよね。
美味しいものがいっぱいだけど、それ以上に私を満たしてくれたのが
こうして向かいあって話せる時間。

いったい、どれくらいおしゃべりしたのだろう。
まだ話足りないねって、少し歩きました。
ライラックの咲く頃_c0114872_23494364.jpg

出会ったばかりの頃の両親がよく待ち合わせたという時計台。
札幌というと時計台のイメージが強すぎて実際に見てがっかりする人も多いらしいのです。
でも私には父と母がデートを重ねた思い入れの場所、変わらずにここにいてくださいね。

まだ9時すぎだけどあちこち店じまいの地下街で
やっと閉店まぎわに滑り込んだドトールコーヒー。
ひとしきり話した頃、
あのぉ、閉店の時間なので・・
申し訳なさそうにお店のお嬢さん。

それじゃそろそろって、地下街を出てすすきのに向かう道すがら
なすびさんが立ち止まりました。
ここ、ちょっとだけ寄ってもいい?
私はいいけど、なすびさん明日のお仕事大丈夫?
うん、ちょっとだけ。
この店はなすびさんの思い出の店、場所は移転したとのことですが、
ここにどんな思い出があるのかな。
明かりを落とした店内には心地いい音楽と棚いっぱいのレコード。
私も昔通ったジャズのきけるお店でよく飲んだソルティドックが懐かしくて一杯だけ、
なすびさんはコーヒーを一杯。

なすびさんが私のブログに初めてコメントをくださったのは
祖母のことを書いた「鰊場育ち」でした。
どこからどうやってここへ来たかわかりませんが・・そう続き、
海の向こうに、増毛、雄冬連山が見えるのです。美しかったです。
そう書いてくださいました。
まさにこの旅で私は増毛(ましけ)に立ち、雄冬(おふゆ)を通ってきました。
なすびさんが小さな頃から見てきた風景が私の大切な場所でもあったのです。
お互いの大好きな記事のことも話しました。
遠くにいる友達のことも話しました、家族のことも話しました。

そして夢のような時間はすぎ名残り惜しいけれどさよならの時間。
すすきのの交差点で別れ際思わずなすびさんをぎゅっと抱きしめると、
なすびさんもぎゅってしてくれました。
通り過ぎる人が見ていたっけ。
さあ、振り返らないでいこうね、と笑顔で言うなすびさんに
うん、それじゃまたと私も笑顔。
ふたりとも振り返らず、なすびさんはふたたび地下鉄に
私はすすきのの近くにあるホテルに向かいました。
いつかライラックの咲く頃にまた来ようって思いながら。
by kisaragi87 | 2010-03-16 23:57 | 旅・散策
<< こころづくし 想い人 >>